喉の病気
喉の病気

口の中や奥には、咽頭(口を開けて観察できるいわゆる「ノド」)や喉頭(声を出すためのノドぼとけ)があり、耳鼻咽喉科の担当領域です。正常に機能しないと食事や発声に支障が出ますので、比較的軽微な異常であっても症状を自覚され、受診されることが多いです。
鼻や口から視診や内視鏡で直接観察できるため、実際に病気があれば多くの場合肉眼的に発見でき、所見を供覧して説明します。治療は、多くの場合は投薬治療となりますが、難治化したり、腫瘍がみとめられれば手術治療を目的に病院をご紹介する場合もあります。
口内炎には、色々なタイプがありますが典型的なものはアフタ性口内炎です。境界がはっきりした数ミリの白い潰瘍(ただれ)病変で、その周囲には発赤を認めます。会話や飲食のときの接触刺激により強い痛みを伴います。
噛んだり、歯ブラシで傷つけたり、やけどなどの傷から雑菌が入り込んで炎症が起こり、ストレスや疲労による免疫力の低下、ビタミンなどの栄養不足、口の中の不衛生といった多くの要因が発症に関係するといわれています。
ウイルス性口内炎はヘルペス、手足口病、ヘルパンギーナ(夏カゼ)、はしかなどのウイルスが原因となることがあります。カンジダ性口内炎は、カンジダという真菌(カビ)の一種が原因で、糖尿病の方や喘息治療に用いる吸入ステロイド剤を使用している方に発症しやすくなります。
治りにくい口内炎の場合、口腔がんの初期症状であったり、一度に何カ所もできたり、発症を何度も繰り返す場合は、全身性の自己免疫疾患の一症状であることもあります。
唾液には口腔内を潤し、感染予防因子を含んで口内の細菌バランスを保つ役割(口腔自浄作用)がありますが、唾液分泌が減少して乾燥状態になると、水分の少ない食品(クッキーやクラッカーなど)がうまく飲み込めないといった嚥下障害、口の中のネバつき、粘膜が乾燥して夜中に何度も目が覚める、味覚障害が出て食事が美味しくない、といった症状をきたします。
そのほか、カンジダ菌の増殖による舌の痛み、口内炎や口角炎、舌苔(ぜったい)の肥厚や口臭の悪化、さらには歯周病を悪化させて誤嚥性肺炎や心臓疾患の原因となって命にかかわる状態となることもあり、決してあなどれない病態です。
扁桃は、ノド(咽頭)に存在するリンパ組織の集まりで、鼻腔の奥(突きあたり)の上咽頭にある咽頭扁桃(アデノイド)、口を開けたときに口蓋垂(こうがいすい:のどちんこ)の両側にみえる口蓋扁桃、舌のつけ根にある舌根扁桃(ぜっこんへんとう)の3つがあります。
このうち、よく知られているのが口蓋扁桃で、一般に“扁桃腺(へんとうせん)”と呼ばれています。この扁桃腺(口蓋扁桃)がウイルスや細菌の感染によって、炎症を起こした状態が急性扁桃炎です。
本来、免疫の役割を持つ扁桃が、疲労などで体力が低下した時などに病原体の感染力が勝ることで発症します。子供や20~30歳代の若い方によく起こります。
主な症状は、ノドの強い痛み、発熱(高熱)、耳の痛みで、飲み込むときに痛みが生じる嚥下痛(えんげつう)や倦怠感を伴うこともあります。このときに口蓋扁桃は赤く腫れ、白い膿(膿栓:のうせん)がついていたり、表面全体が白い膜(偽膜:ぎまく)で覆われていたりします。
急性扁桃炎が悪化すると、炎症が扁桃の周囲まで及ぶ「扁桃周囲炎」や、扁桃のまわりに膿が溜まる「扁桃周囲膿瘍」を引き起こします。発熱、喉の腫れ・痛みがさらにひどくなり、痛みで食事が摂れなかったり、口が開けられなくなったり、耳痛(じつう)を伴うこともあります。
急性扁桃炎の段階できちんとお薬を服用し、無理せず安静療養すれば治癒することが大半ですが、お薬を自己判断で中止したり、休みを取らずに無理を続けたりすると扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍を発症することがあり、点滴治療を行ったり、粘膜を切開して膿を排出する手術や入院して持続的に点滴治療を行う必要がある場合もあります。十分に休養をとり、完治するまでしっかり治療を継続することが大切です。
喉頭蓋(こうとうがい)とは、発声をつかさどる声帯(ノドぼとけにあります)の少し上にある軟骨でできた突起で、物を食べた時に誤って気道に入らないよう、気管の入り口にふたをする役割を担っています。ここに細菌やウイルスが感染し、急性の炎症が起きた状態を急性喉頭蓋炎といいます。
初期段階では、物を飲み込む時の喉の痛みや異物感程度の症状しか認めませんが、次第に発熱や激しい喉と首の痛みが現れ、唾液ですら飲み込めなくなることもあります。声も出しにくくなります。
炎症がひどい場合には、喉頭蓋が腫れて空気の通り道をふさいでしまい呼吸困難にいたる危険性もあります。痛みがひどく、含み声や声がれを伴い、息苦しいなどの症状が出てきた場合は、早急に受診してください。
急性咽頭炎は、主に細菌やウイルスなどの感染が原因です。咽頭は鼻や口を通して直接外気と接するところなので、これらの感染が起こりやすいといえます。
睡眠不足や疲れなどで身体の抵抗力が低下しているときに、咽頭が細菌やウイルスに感染すると、炎症を起こして赤く腫れます。喉にヒリヒリした痛みや違和感があり、とくに物を飲み込むときに痛みを伴います。
咳や痰、耳痛、全身の倦怠感、発熱がみられることもあります。咽頭の炎症が慢性化した状態が慢性咽頭炎です。原因としてはウイルスや細菌の感染のほか、胃酸の逆流、自己免疫疾患や性病などでも発症することがあります。
咽頭炎の炎症の広がりや、アレルギー、喫煙などが原因で起こる喉頭の炎症を喉頭炎といいます。喉の痛みや咳、発熱が主体で、声帯が発赤し腫脹するため声がかすれて発声がしにくくなることもあります。治療は投薬治療がメインですが、ネブライザー治療も症状緩和に有効です。
咽頭は位置の高さに応じて上咽頭、中咽頭、下咽頭に分けられ、下咽頭の前方には喉頭があります。いずれの部位にもがんはできますが、部位によってそれぞれ特徴や症状が異なります。
上咽頭がんは、ノドの上部(鼻の突きあたり)に発生するがんで、原因としてEBウイルスと呼ばれるウイルスが関連するものと、喫煙や過度の飲酒が関連するものが考えられています。
初期症状は、耳の閉塞感や中耳炎といった耳の症状、鼻血や鼻づまりといった鼻の症状が起こりやすくなります。また、上咽頭がんが首のリンパ節に転移したことによって現れる“首のしこり”で気付かれることもあります。上咽頭は手術が困難な部位であり、放射線療法や抗がん剤による化学療法がメインになります。
中咽頭は、口を開けて見える範囲(のどちんこや頬の粘膜、突きあたりの後壁)、両脇の口蓋扁桃、舌根部(舌の奥の1/3の部分)、その部分に発生するのが中咽頭がんです。
喫煙・飲酒といった生活習慣と強い関連があり、また、ヒトパピローマウイルス(HPV)が発症の危険性を高めることも分かっています。50~70歳代に好発し、女性よりも男性に多い傾向があります。
初期症状には、飲み込むときの違和感、咽頭痛、吐血、口を大きく開けにくい、舌が動かしにくい、声の変化、耳痛などがありますが、無症状のこともあり、口の奥、喉、首のしこりで気付かれる場合もあります。
下咽頭は、ノドの奥の最も食道に近い部位であり、ノドぼとけの裏あたりから食道までをいいます。その部分に発生するのが下咽頭がんで、目に見えない位置にあるため発見が遅れやすく、咽頭がんのなかでも治療が難しいがんと言われています。
喫煙・飲酒と強い関連があり、飲酒量の多い人やヘビースモーカーの人は、下咽頭がんのリスクが高くなると考えられています。50~70歳代で発生しやすく、女性よりも男性に多い傾向があります。
初期症状は喉の痛みや飲み込むときの違和感(喉のつかえ)、声のかすれなどです。症状が軽いことが多く、首のリンパ節へ転移し、首の周りにしこりができることで、はじめて気付かれることもしばしばです。
