舌下免疫療法(スギ花粉症・ダニアレルギー)
舌下免疫療法(スギ花粉症・ダニアレルギー)

アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を微量ずつ長期間にわたり投与することで、アレルギー反応を起こしにくくする免疫寛容の状態を作り出すというアレルギー免疫療法(減感作療法)のひとつです。
(妊娠した母体が、自分にとっては異物であるはずの胎児を攻撃することなく、妊娠が維持されるのも免疫寛容の一例です)
以前は、皮下注射によってアレルゲンを投与する皮下免疫療法が主流でしたが、頻回の通院が必要で、日本ではあまり普及しませんでした。舌下免疫療法はアレルゲンのエキスを自分で服用するため、自宅で手軽にでき、副作用が皮下免疫療法に比べて少ないのが特徴です。現在のところ、国内ではスギ花粉症と、ダニアレルギーによる鼻炎に対してエキスが認可され、治療が実用化されています。
舌下免疫療法は、1日1回舌の下にアレルギーの原因物質のエキスを含み、口腔内の血管から体内に吸収させる(舌下投与)ことで、アレルギー反応を起こしにくい体質を作り出す方法です。投与するエキスの濃度が一定まで上がれば、月1回の通院で治療が可能(自宅での舌下投与は毎日必要)ですが、アレルギー反応を起こさない程度の体質になるまでは3~5年の治療継続期間が必要とされています。
スギ花粉やダニといった物質にアレルギーをお持ちの患者さまにそのエキスを投与しますので、当然のことながらアレルギー反応が起きる可能性があります。(とくに重篤な場合ではアナフィラキシーショックとよばれる救急搬送されるような強いアレルギー反応を生じる可能性があります。ハチ毒や食物アレルギーによる事例が有名です)
ただし、これまでの海外での実績では、舌下免疫療法にともなう重篤な副反応はきわめて稀であり、従来の注射による免疫治療よりもかなり安全とされます。(舌下免疫療法によるアナフィラキシーショックは投与100,000,000回に1回、副反応4000例のうち1例程度との報告があります。また、ショックに至るような事例は通常の服用例ではなく、過量服用や体調の悪い時が多いといわれています)
ごく軽度の副作用も含めて、下記のような報告があります。
受診する(初回投薬を受ける)前に
舌下免疫治療は、治療期間が長期にわたり自己管理が必要となりますので、来院される前に当ホームページおよび舌下免疫治療薬の解説ページなどで舌下免疫療法について理解しておいていただく必要があります。患者さまが理解し、納得されたうえで治療を開始させていただきます
当院でも他院でも結構ですが、血液検査でスギ花粉かダニに対するアレルギー反応が出ていることをご確認ください。反応の出ていない方、検査を受けておられない方、検査は受けたものの結果の用紙(画像でも可)がない方は、舌下免疫治療を開始することができません
血液検査の結果が出ており、ホームページ等で舌下免疫治療についてご理解いただいたうえで治療を希望される場合は、当院診察予約(日時指定予約)ページから初回治療日の予約をお取りください(スギ花粉に対する舌下免疫療法の開始は6~12月となっております。1~5月は開始できません)
*インターネットでホームページや動画を視聴できない方、ネット予約が不可能な方は受付までご相談ください
初回投薬日
説明と投薬後の経過観察がありますので、当日は1~1.5時間程度を要します。お時間に余裕のある日時でご予約ください
再来院(順調に服用できていれば初回服用日から1週間後)
決められたとおりに服薬できたか、投与による副作用の有無、体調や口腔内の状態を確認し、治療を継続可能かどうか判断します。
治療継続可能であれば、用量を増量し、投与を継続します。
維持期になると月に1回の受診となります。
1日1回(起床時を推奨)舌の下に免疫治療薬の舌下錠を置きます。舌の下に1分間含んでおき、その後に飲み込みます。服用後5分間はうがい・飲食を避け、服用の前後2時間程度は激しい運動・入浴といった血圧や血流の変動を伴うような行動を避ける必要があります。
治療開始から1週間の間は黄緑色のラベルの錠剤(2000JAU)を使用し、2週目から青色のラベルの錠剤(5000JAU)を使用します。1回目の舌下投与は医療機関で行いますが、以降は毎日自宅で行います。薬剤は無味無臭です。
1日1回(起床時を推奨)舌の下に免疫治療薬の舌下錠を置きます。舌の下に1分間含んでおき、その後に飲み込みます。服用後5分間はうがい・飲食を避け、服用の前後2時間程度は激しい運動・入浴といった血圧や血流の変動を伴うような行動を避ける必要があります。
治療開始から1週間の間は黄色のラベルの錠剤(3300JAU)を使用し、2週目からピンク色のラベルの錠剤(10000JAU)を使用します。1回目の舌下投与は医療機関で行いますが、以降は毎日自宅で行います。薬剤は無味無臭です。
一般的に舌下免疫療法では3~5年間、治療を継続することが推奨されています。数年間の治療を行い、アレルギー症状の治癒(症状が消失する)や寛解(症状が楽になる)が得られたら、いったん治療を終了することになりますが、治療を終了すると、効果が減弱して将来的にまた症状が再燃することもあり得ます。その場合はまた舌下免疫療法を再開すると、すみやかに治療効果を得られるとの報告もなされています。治療の中断・終了は自分で判断せず、医師にご相談ください。
診察の際に、持病や普段服用されている薬をきちんとお知らせください。
舌下免疫療法の薬代は、年間でスギ免疫治療薬で約11,000円、ダニ免疫治療薬で約20,000円程度(3割負担の場合)です。これに加えて、診察料や処方料(当院は現在のところ院内処方です)が必要です。また、症状がひどい時に追加で服用する抗アレルギー剤が必要な場合があります
スギ花粉症
効果発現まで少なくとも8~12週間は必要とされており、スギ花粉の飛散が始まる3カ月以上前から治療を開始することが必要です。6月から12月末までのあいだに治療を開始します。スギ花粉飛散期はスギ花粉に対する患者さまの過敏性が高まっていることから、12月を過ぎてしまうとスギ花粉の飛散が終了する6月まで新たに治療を開始することはできません。
ダニアレルギー
体調の悪い時でなければ、年中いつでも開始できますが、ほとんどのダニアレルギーの方は梅雨時(ダニの増殖期)や晩秋(気温が下がってダニが一斉に死滅するため大量の死がいが発生)に症状が悪化するため、アレルギー症状がきつい時期は避けた方が無難です。
症状に対する治療ではなく、アレルギーを起こす原因物質に対する免疫反応をやわらげる(体質を変える)治療です。長い期間かけて少しずつ良くなっていきますので、まず2年間は舌下免疫療法を行い、効果判定を行います。その時点で効果がみとめられた方は4~5年間の治療継続を勧めています。
一度数年間の治療を継続すれば、治療終了後も効果が持続すると考えられています。その後効果が減弱した場合は、治療を再開すれば効果が元に戻るといわれています。
日本国内で保険適用となっているのは今のところスギ花粉とダニに対するアレルギーであり(薬は別々です)、それら以外のアレルギーには効果がありません。
同時に複数のアレルギーをお持ちの場合、スギやダニのアレルギー反応が治療によって緩和されても、そのほかのアレルギーでひどい症状が出れば、結局ラクにならないということがありますので、スギやダニ以外にも強いアレルギーをお持ちの方にはあまりお勧めできません。(もちろん、多種のアレルギー反応をお持ちであっても、スギやダニに対するアレルギーだけでも軽症になれば、日常生活上大きなメリットがあるという場合は投与することは可能です。
血液検査では多くの原因物質に反応が出ていても、一年のうち2~3月が特にきつい方はスギ花粉、一年を通じてずっと症状がある方は、ダニアレルギーが症状の主因となっていることが多いため、治療するメリットはあると考えられます)
そのような観点からも、血液検査ではスギ・ダニ以外にもアレルギーをお持ちでないかどうか調べます。スギ花粉症とダニアレルギーの両方がある場合は2剤併用も可能ですが、舌下免疫治療薬を2種類同時に開始することはできません。時期をあけて追加となります。
再開はできますが、中断の期間によっては最初の投与量からとなります。濃い濃度の薬でいきなり再開すると副作用が出やすくなるからです。
スギ・ダニそれぞれの免疫治療薬ともに、一般的には維持期に達していれば、2週間程度の休薬は問題ないとされています。数日程度であれば旅行や出張にまで持参して服用する必要はないということです(環境が変わってストレスがかかっているときに無理に服用すると、副作用も出やすくなります)
一カ月以上服薬しない期間が続いた際は、あらためて初めからリセットしたほうが安全と思われます。
ステロイドが含まれている内服薬以外であれば、アレルギー性鼻炎の薬は内服可能です。(内服ステロイドを使用すると、免疫反応を抑えてしまいますので、舌下免疫療法の効果を打ち消してしまいます。
もちろん、あまりに症状がひどいときにだけ、まれに使用するのはかまいません)ステロイドを含む外用薬(点鼻・点眼薬)は制限なく併用可能です。舌下免疫治療を受けられる方は、もともと症状がきつく、それを緩和したくて舌下免疫療法を受けられる方が多いので、大半の方がアレルギーの薬と併用され、症状が緩和されてくると徐々に減らしていくという方が多いです。
